嫌い、のち好き、のち愛
店に着いて、駐車場に車を止めて真咲ちゃんを振り返る。
「ここ。俺の行き着けなんだけど、美味しいから」
「あ、にいにだ!」
そう言った俺の耳にその声が飛び込んでくる。
振り返って小さなその姿を見つけて、自然に顔が綻ぶ。
俺の足に抱きついてきた子供を、俺は抱き上げた。
「陽太。どうした?おつかいか?」
陽太は俺の姉の子供で甥っ子だ。
今年五歳になる陽太を一人で買い物に行かせるわけはないと思うけど。
「うん。パパとおつかいー」
そう言われその姿を探すと陽太のパパ、俺の義理の兄である幸太さんが少し離れたところでニヤニヤしながら俺と真咲ちゃんを見ている。
ちょっと面倒くさい。
そう思いつつ、俺は真咲ちゃんを振り返った。