嫌い、のち好き、のち愛
「ごめん、真咲ちゃん。とんだ邪魔が入った」
俺がそう言うと、真咲ちゃんは少し笑顔になった。
満面の笑みとはいかないが、それでも作り笑顔ではないそれにちょっと驚く。
「かわいいですね、甥っ子さん。隠し子かと思いましたけど」
「は!?隠し子!?」
真咲ちゃんの言葉に驚きすぎてよろめいて店の壁に身体がぶつかった。
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だけど。真咲ちゃん、俺のことほんとにそんな男だと思ってるんだ?」
「はい」
はい、即答。
なんかクラクラしてきた。寝不足ってのもあるだろうけど。
「色々言いたいことはあるけど、とりあえず飯行こう」
話して分かってもらえるかは分かんないけど……頑張れ、俺。
うまくいけば地獄の日々から解放されるかもしれないんだから。