嫌い、のち好き、のち愛

「私、ほんとに苦手で。名前聞くだけで食欲なくなっちゃうくらいで。せっかくおいしそうな定食屋さんなのに、それは嫌というか」


いたって真面目にそう言う真咲ちゃんがなんだかおかしくて、俺は吹き出した。


「わ、笑うなんてひどい。真剣なのに……」


そう言われてますます笑う俺を見て、真咲ちゃんがふくれっ面になる。


「だって、なんか真咲ちゃんがそんなに食い意地はってると思わなかったから」


「私、おいしいもの食べるのが好きなんです。特に定食ものが好きで」


食い意地はってるってとこは否定せずに真咲ちゃんがそう言う。


「そうなんだ。ちょっとイメージ変わった」


「私も村上さんのイメージ変わりました」


「え?」


どういう風にと聞きたかったけどいいタイミングで料理が運ばれてくる。


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