嫌い、のち好き、のち愛
つい、じーっと顔を見てしまい、鯖味噌を食べようとしていた真咲ちゃんが訝しげな目で俺を見る。
「なんですか?」
「いや、笑うんだなと思って」
正直にそう言うと真咲ちゃんは不思議そうな顔で俺を見る。
「そりゃ、笑いますよ」
「俺の前では笑わなかったじゃん」
俺の言葉に少し考えるように視線を上にあげていた真咲ちゃんが、ああ、と納得したように頷いて俺を見る。
「だって村上さんがずっと作り笑いなんですもん」
そう言われて、驚いて真咲ちゃんを見る。
「作り笑いだから作り笑いで返してたんですね。なんか胡散臭いっていうか、いかがわしいっていうか、苦手でした。村上さんのこと」
そう言って鯖味噌を食べて、おいしいと顔を綻ばせる真咲ちゃんに絶句する。