嫌い、のち好き、のち愛

俺は深呼吸をして、水を一口飲んでから話し始めた。


「俺、睡眠恐怖症なんだよね。寝るのが怖いの」


真咲ちゃんが息を呑んだのが分かった。


「寝ると、嫌な夢を見るんだ。それで、起きると前みたいに泣いてたり。それならまだいいんだけどパニックになって過呼吸みたいになることもある」


そこで俺は言葉を切って、水を飲んだ。


それから真面目な顔で俺を見ている真咲ちゃんのことを真っ直ぐに見る。


「一人だと絶対寝らんないの、怖くて。でも仕事もしてるし、さすがに三日か四日くらいで限界がくるんだよね。そうすると、誰か適当な女を探すの。仕方なくね。職場でぶっ倒れるわけにもいかないしね」


二回くらいは、ぶっ倒れたことあるけど。


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