嫌い、のち好き、のち愛

「わがままついでに、手繋いでもいい?」


あまりにも器が大きいからついつい甘えてしまいそう言うとそれも真咲ちゃんは受け入れてくれる。


「早く寝てください」


「うん、ありがとう……」


そう言ってすぐに、俺は目を閉じた。


「おやすみなさい」


そう言った真咲ちゃんの声に答えられず、俺は深い深い眠りに落ちていく。


そして夢を見る。


忘れられない、あの夢を。


遠ざかっていく、大好きな人の背中。


行かないで、お願いだから、俺を置いて行かないで。


どんなに叫んでも、その人は振り返ってはくれない。


どうして、なんで、なんで俺を捨てるの。


私の宝物だって、そう言っていたのに……いらなくなったの?


俺はその人の腕を掴んだ。


行かないで、お願いだから、俺を置いて、置いて。


行かないで……!!
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