嫌い、のち好き、のち愛

「……さん、村上さん、村上さん!!」


その声に俺ははっと目を開いた。


まだ夜が開けてないのか、薄暗い。


「村上さん、大丈夫ですか?」


その声にはっと横を見ると、真咲ちゃんが心配そうな顔で俺を覗きこんでいる。


ああ、最悪だ。また泣いているところを見られた。


だけど今回はもっと最悪だった。


「……っ!」


俺が掴んでいた、真咲ちゃんの腕に、アザができている。


それを見て俺は慌てて真咲ちゃんの腕を離した。


起き上がって真咲ちゃんから距離をとろうとして、背中に壁がぶつかった。


「あ、ご、ごめ……ごめん。俺、どうして、ごめっ……」


取り乱して頭を抱える俺の手を、真咲ちゃんの手が包み込む。


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