嫌い、のち好き、のち愛
バットを構えた真咲ちゃんを見て、ちょっとビックリする。
めちゃくちゃ様になってる。
そして機械が投げてくる球を、見事なスイングで弾きかえした。
か、かっこよすぎでしょ。何、この子。
一球も空振りすることなく出てきた真咲ちゃんは満足そうに笑った。
「ふー、どうですか。すごくすっきりするので村上さんもどうぞ」
そう言われても。
「いや、俺こんなのやったことないし。真咲ちゃん上手すぎじゃない?」
「兄二人に弟一人いるので、全員野球やってるのでよく付き合わせられてまして。空振りしても大丈夫ですよ」
「だってかっこ悪いじゃん」
そう言うと真咲ちゃんはきょとんとした顔で俺を見る。
「何言ってるんですか。村上さんのもっとかっこ悪いとこ、もういっぱい見てますから」
た、確かに。くそ、ぐうの音も出ないわ。