嫌い、のち好き、のち愛
「じゃあ、やってみる」
めちゃくちゃ不安ですが。
真咲ちゃんにコインを渡され、俺は金網の中に入ってバッドを持つ。
バッドを持つのも高校の授業以来だ。
バットを構えて、前を向いて。さっき見た真咲ちゃんの勇ましい姿が脳裏をよぎった。
一球目は空振りした。
「村上さん、ど下手ですね」
真咲ちゃんにそう言われてムッとする。
「うるさいよ」
そう言いつつ、二球目はなんとかバットに当たった。
「いいじゃないですか。後は、ボールを嫌な人とかものだと思うんです」
そう言われて、ボールを打ちながら自分の感情をぶつけていく。