嫌い、のち好き、のち愛

「いや、俺、実は一人で暮らし始めてから母さんの夢見るようになって、ずっと不眠症みたいな感じだったんだよね」


俺の言葉に、姉ちゃんが息を呑むのが分かった。


「俺、ずっと自分のこといらない人間だと思っててさ。いつ死んでもいいと思ってたんだけど。今日初めて、母さんに怒りの感情があるって気付いたんだ。姉ちゃんはどう思ってんのか、聞きたくなった」


今まで二人とも、母親の話題は避けてたから。


こんなこと話すの初めてだ。


『そんなの、怒り狂ってるわよ。当たり前じゃない!恨んでるし、憎んでるわ!私もあんたみたいに思ってた。いらないなら、産まなきゃよかったのにって』



姉ちゃんの声は、涙声だった。


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