嫌い、のち好き、のち愛
携帯をしまいながら、ふうっと息を吐いた。


なんか、すごいすっきりしてる。


母親に捨てられてから十六年が経って、やっと自分の中の感情を自覚して。


吐き出して、ぶち壊して、清算して。


真咲ちゃんて、すごい子だなと思う。


ほんと、絶対逃しちゃいけないよな。


そう思ってもう一度息を吐いてから、俺は真咲ちゃんのところに戻った。


「ごめん、お待たせ」


俺がそう言うと、真咲ちゃんは笑いながら出迎えてくれる。


あの、天使みたいな笑顔で。


「いえ、全然大丈夫です」



その笑顔を見て、俺も笑顔になった。


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