殺人事件と雪ウサギ
「夏休みシーズンだったからね。
 あたしらの町には何にもないけどさ、あっちの方には廃村があるし向こうには廃鉱があるしで、実は心霊スポットに囲まれてんのよね。
 そーゆーのが目当ての人だったんだと思うんだけど、どこも噂ばっかりで、実際は大して怖くないのよ。
 で、廃墟でお酒を飲んで、道に迷ってあたしを撥ねたの。
 こんな森の中じゃあさ、見通しが悪くっても車の音がすればすぐに気づいて避けられるって思うでしょ?
 もちろん避けたわよ。
 でも追ってきて撥ねたのよ。
 それで車を降りて、まだ生きてるあたしの首を絞めたのよ。
 お酒のせいであたしがお化けに見えてたみたい。
 変な薬もやってたのかもね。
 おかげでこっちはホンモノのお化けよ。
 とんだ“夏休みの思い出”よ」
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