殺人事件と雪ウサギ
 生きてる僕と死んだ彼女と。

 二つの世界を裂くように、僕らの間に雪がひとひら舞い落ちた。

「もう行きなさい。
 空が荒れたら大人だって町に帰れなくなるわ」

 雪は僕の肩で解け、夏憐の肩はすり抜けた。

 僕を呼ぶ声が近づいてくる。

 僕は涙をぐっとこらえた。
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