つるの恩返し
彼に言われたように囲炉裏のそばに座る。

少しぬくもりが残っていて、暖かかった。


彼は薬草と、布の切れ端を持ってきた。

そして、脚に薬草をすり潰したものを塗り、布を巻いた。

「あ、済まない…。脚を触られるの嫌だったか?」

「い、いいえ!違うのです…」


瞳から一筋の涙が零れた。

この涙は…感動…感激……なんと表すのが正しいのかわからない。
けれど、嫌悪ではない。
絶対に。


「あ、ありがとうございます…」
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