おあずけ
「あれ、嘘だから。」

「あれって・・・?」


はしゃぎ過ぎたのと、現状をよく理解できないのとで、私は放心状態だった。


「彼女。」

「え!?いないってこと!?」

「じゃなきゃお前と2人きりで出かけたりしねぇよ。」

「そ、そっか・・・。」


コロコロと変わる圭人の発言に動揺を隠せないでいる私。

そして、圭人はまた私から離れた。


「なんで・・・彼女いるなんて嘘ついたの・・・?」


今まで圭人が彼女できたなどと報告してくることはなかった。

しかも、今回はそれが嘘だった・・・。

もうわけがわからない。


「お前の反応が見たかったから。」

「え?」

「それを聞いてなんの動揺とかもなく受け止めたら、それは俺に気がないってことだろ、普通は。でも、逆にさっきのお前みたいに動揺したら、それは俺に対して何かある。」

「・・・は・・・?」


スラスラと語られた圭人の言葉に思わず間抜けな声が出た。

単純に意味が分からなかったのである。


「だーかーらー―――」


そうして私の耳元で囁いた・・・。



「お前が俺を好きってこと。」
< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop