窓ぎわの晴太くん
「ののちゃん・・・
そのエクステって晴太君と行く必要があるの?」
西川は里子が晴太に惹かれていることくらい百も承知だった。
だから、深みにはまる前に救わなければならない。
「え?
あ、はい。
もう約束しちゃったんで・・・」
「ののちゃんに、エクステって似合うかな?
私はあまり似合わないって思うんだよね」
里子は、西川のその言葉にとても傷ついてしまった。
でも、今は西川さんの言葉より、晴太さんの言葉を信じたい・・・
晴太さんは可愛くなるって言ってくれたもの・・・
「西川さん、ごめんなさい・・・
でも、そのエクステってやつ、ちょっとやってみたいんです。
似合わなかったら、引っこ抜いちゃえばいいだけですから・・・
心配してくれてありがとうございます。
明日、楽しみにしていて下さいね」
里子はそう言うと、30台近くあるパソコンの電源を入れる作業に取り掛かった。
里子が黙々と仕事をしていると、いつの間にか里子の後ろに西川や鈴木や派遣のおばちゃん達が数人立っている事に気づいた。
「ののちゃん、あの人はやめた方がいいと思うの。
おばちゃん達の言う事に間違いはないから、ね、お願い・・・」