窓ぎわの晴太くん



晴太は胸が苦しく痛いとさえ思うほどだった。
里子の泣き顔は晴太の胸の奥をえぐっていく。


昨夜、俺がいなくなってから里子はずっと泣いていたのだろうか?
夕飯の準備をして来ない俺をずっと待っていたのだろうか?

晴太は聞くのをためらった。
聞かなくても分かっていたから。
分かっていても気にしないようにしていたから。


「ののちゃん、もう僕とは会わない方がいい。
こうやってののちゃんにたくさん親切にしてもらってるのに、僕はののちゃんを泣かせてばかりいるだろ?

もうこれ以上僕に関わらない方がいい。

この今の友達のままで終わらせよう・・・」


里子はまだ首を横に振っていた。
晴太はそんな里子の肩を掴み里子の顔をしっかり見る。


「ののちゃんは僕には似合わない。
もっとまじめで性格のいい好青年がののちゃんには合ってるんだ」


里子はまた首を横に振り始めた。


「私、泣いてばっかりじゃないです・・・

晴太さんに会って、晴太さんを好きになって、恋をするときめきや喜びや幸せをたくさんもらいました。



晴太さん・・・

どうやったら、どうすれば、私を愛してくれますか?


私を好きになってもらいたいんですが、何も思いつかないんです・・・」















< 101 / 208 >

この作品をシェア

pagetop