窓ぎわの晴太くん
晴太は胸が苦しく痛いとさえ思うほどだった。
里子の泣き顔は晴太の胸の奥をえぐっていく。
昨夜、俺がいなくなってから里子はずっと泣いていたのだろうか?
夕飯の準備をして来ない俺をずっと待っていたのだろうか?
晴太は聞くのをためらった。
聞かなくても分かっていたから。
分かっていても気にしないようにしていたから。
「ののちゃん、もう僕とは会わない方がいい。
こうやってののちゃんにたくさん親切にしてもらってるのに、僕はののちゃんを泣かせてばかりいるだろ?
もうこれ以上僕に関わらない方がいい。
この今の友達のままで終わらせよう・・・」
里子はまだ首を横に振っていた。
晴太はそんな里子の肩を掴み里子の顔をしっかり見る。
「ののちゃんは僕には似合わない。
もっとまじめで性格のいい好青年がののちゃんには合ってるんだ」
里子はまた首を横に振り始めた。
「私、泣いてばっかりじゃないです・・・
晴太さんに会って、晴太さんを好きになって、恋をするときめきや喜びや幸せをたくさんもらいました。
晴太さん・・・
どうやったら、どうすれば、私を愛してくれますか?
私を好きになってもらいたいんですが、何も思いつかないんです・・・」