窓ぎわの晴太くん
晴太は奥の窓際の日当たりがいい場所に里子を呼んだ。
そして、そこの汚れた床の上に自分の上着を敷いた。
「ののちゃん、ここに座って。
急いで食べなきゃ時間がなくなるよ」
晴太は先に自分が座り里子の作ってくれたお弁当をそこに広げた。
「晴太さんの上着が汚れちゃうじゃないですか・・・」
晴太は里子の手を引いて隣に座らせた。
「全然気にしないでいいよ。
それより早く食べよう」
晴太はそう言うと大口を開けていつものようにパクパク食べ始めた。
里子は不思議と笑顔になる。
晴太の魔法にまたかかってしまっている。
食欲のない里子は何も食べずに晴太ばかりを見ていた。
「ののちゃん、食べないの?」
里子が小さく頷くと晴太はもぐもぐしながら里子を抱きしめた。
「晴太さん、もぐもぐしながらこんな事しちゃだめですよ」
晴太はそう言う里子をもっときつく抱きしめた。
「もぐもぐしてたらののちゃんにキスがしたくてもできないだろ?
だから僕は今抱きしめるんです」
里子は枯れたはずの涙がまた溢れ出した。
「晴太さん・・・
もぐもぐしててもいいですから、私、晴太さんのキスがほしい・・・」