窓ぎわの晴太くん



里子はうっとりとした気分のままで仕事に戻った。

もう私の世界は晴太さんで廻っている・・・


広瀬は今日もお弁当を作ってきてくれた里子の為に休憩時間を使い、近くのカフェで里子の好物のアイスココアを買ってきた。


「ののちゃん、ありがとう、美味しかったです」


綺麗に洗った弁当箱と一緒にココアを里子の机の上にのせた。


「あ、私の大好きなアイスココアじゃないですか?
係長、買って来てくれたんですか?」


里子の涙腺はかなりゆるゆるだった。
広瀬の小さな心遣いが里子の心を感動させる。


「なんとなくののちゃんが元気がないみたいだったから」


里子はもうすでにココアを飲んでいた。
昼のお弁当を全く食べていなかった里子はココアを一気飲みした。


「あ~、美味しかった~~

係長、私、決めました。

人の胃袋って満たされると幸せな気持ちになるんですね。
それも自分の大好きな物ならなおさら・・・

私、仕出し屋のおばちゃんでいいんです。
それが私の唯一の魅力だと思うし・・・
多分、私にはそれしかないから・・・

だから、そこは誰にも負けません。

私は係長の買ってきてくれたこのココアを目指します。
胃袋で釣っていきます。

もう手段は選びません」


広瀬は里子の演説をポカンとした表情で聞いていた。



仕出しのおばちゃん??

やっぱりののちゃんを理解するのは難しい・・・・




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