窓ぎわの晴太くん
晴太は食卓を見て驚いてしまった。
たくさんの彩り豊かな料理がテーブルを埋め尽くすように載っている。
「ののちゃん、凄いよ・・・」
晴太は真剣に感心していた。
会社から帰りついてそんなに時間はなかったはずなのに。
里子の料理は本当に素晴らしい。
「あ、ののちゃん、ごめん・・・
実は今夜どうしても外せない用事があって30分位しかここに居れないんだ。
でも、夕ご飯は食べてないからこの料理はもちろんいただきます」
里子はその話を聞くと急に慌て出した。
「そうなんですか・・・
じゃ急いで準備しますね・・・」
里子は少し落ち込んでしまったが、でも、それでも夕飯を食べに来てくれた晴太の優しさが嬉しかった。
そして、晴太は一番最初に肉じゃがをほおばる。
「焦がさなかったらこんなに美味しかったんだね」
里子はクスッと笑ってご飯をよそった。
晴太は時間を気にしながらも出された料理は全部たいらげた。
「晴太さん、食後のコーヒーは?」
里子はさっきから晴太の携帯のバイブがずっと鳴っているのに気づいていた。
でも、晴太は気にせず里子の料理を食べ、そして褒めてくれる。
「ののちゃん、ごめん・・・
コーヒーはちょっと時間がないんだ。
本当に美味しかった。
ありがとう」