窓ぎわの晴太くん



晴太は最初に言っていた通り30分で帰っていった。


何に晴太は急かされていたのだろう?
やはり晴太は皆が言うように何かいけない事をしているのかしら?
でも、私が信じてあげなくてどうするの?

晴太の過去も今も未来も私は全部受け入れると決めた。

だって晴太さんはこんな取り柄もない私にキスをしてくれたんだもの。
私は何があっても晴太さんを信じるし絶対見捨てたりなんかしない。


すると、里子の携帯が鳴った。
里子は晴太からの電話だと胸が高鳴ったが、着信番号は涼の名前が表示されていた。


「もしもし・・・」



「里子ちゃん、涼だけど、今、そこに晴太が来てた?」


里子は涼が何故その事を知っているのか不思議に思ったが「うん」と答えた。


「やっぱりそうか・・・

実は、俺、里子ちゃんがちょっと心配だったから里子ちゃんの家に向かってたんだ。
そしたら、駅で晴太を見かけて、なんか焦った様子で誰かと電話してた。

晴太の様子が少し変だったから、今、実は、晴太をつけてる」



「え? つけてるって、尾行してるって事?」


里子は今度は違った形で心臓が高鳴る。



「涼さん、私もそっちに向かいます。

今、どこら辺にいるの?」



「里子ちゃんのとこから電車に乗って、今、東京駅方面行の電車に乗り変えようとしてる。

あ、電車がきたから今度はメールするよ」


そう言うと涼は電話を切った。


里子は晴太にばれないよう少しだけ変装をして家を飛び出した。














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