窓ぎわの晴太くん



涼は晴太に動きがあったためもう少し近づくことにした。
どうやら仲間が来たらしい。
晴太は、30代後半に見えるその男と周りに目を配りながらひそひそ話している。

涼はその光景を見て本当にやばいと思った。
やっぱり里子をこの場に呼ぶんじゃなかった・・・

涼はもう一度里子と待ち合わせをしている最初の場所に戻った。
里子を連れてこのまま帰るしかない。


「涼さ~~ん」


蚊の鳴くような小さな声で誰かが涼を呼んだ。
涼が振り向くと変装をした里子が肩で息をしながら涼の方へ近づいてくる。


「里子ちゃん、どうしたの?
その恰好・・・」


里子は周りを気にしながら小さな声でささやいた。


「やっぱり私って分かりました?」


涼は笑ってしまいそうだった。
こういう緊迫した場面に里子のようなキャラは一番似合わない。


「で、晴太さんは?」


涼は里子の腕を掴んで自分の方へ引き寄せた。


「見失ったみたいなんだ・・・

ごめん・・・

だから、今日はもう帰ろう・・・」




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