窓ぎわの晴太くん



晴太は絶句した。
血の気が全身から引いていくのが分かる。


「え? 何の話かな・・・」


里子は晴太が小刻みに震えているのが分かった。
今度は里子の方から離れて、里子は晴太の目をずっと見ていた。


「晴太さん、全部話して下さい・・・」


晴太はポケットから携帯を取り出して着信番号を確かめる。

里子から逃げるつもりはない。
でも、本当に時間がなかった。


「ののちゃん、マジで時間がないんだ・・・

ごめん・・・」


すると、里子は上着を持って来て出かける準備を始めた。


「私も連れて行って下さい。
晴太さんが何をやっているのか本当の事が知りたいんです」


晴太はダメだと分かっていながらもう一度里子を抱きしめた。


「ののちゃんが何を見たのか知らないけど、僕が何をしてるかちゃんと話すから。
だからここで待ってて・・・
必ず今夜にはここに帰ってくる」


里子はその言葉だけは信じる事ができなかった。

きっと、晴太は帰って来ない・・・


「そう・・やって・・言うけど・・・

晴太さんは・・ここに絶対来ない・・じゃないですか・・・」


里子は大粒の涙が止まらなかった。
晴太は私を置いて遠くに行ってしまう・・・


「必ず帰ってくる。
そして、ちゃんと説明するから・・・」



そして、晴太は行ってしまった。






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