窓ぎわの晴太くん



晴太は相沢と代わりホテルのロビーで金井のばあさんを見張っていた。
ばあさんを見張るというより、この近辺を坂龍の奴らがうろついていないかそっちの方が重要だった。

金井のばあさんは、去年夫を亡くし未亡人となった。
一人息子はアメリカの方で事業をしているらしく日本にはいない。
元々千葉の田舎の方で大地主だった夫が、マンション経営をはじめかなりの資産を抱えていた。
そして息子はアメリカに移住しており、日本をあまり知らない孫が最近大阪の企業に就職していた。
このばあさんは金を持っている。

標的にするには最高のかもだ。
こぞってその手の悪い輩が狙いを定めている。
晴太はこのばあさんを絶対にそいつらに渡すわけにはいかなかった。


すると、晴太の携帯が鳴った。
相沢からだ。


「もしもし」



「お前、今、どこだ?」



「ホテルのロビーです」


相沢は少しだけ胸をなで下ろした。


「今日はもういいぞ。
金井のばあさんももう寝ただろう・・・

お前は明日、ばあさんを車で千葉まで連れて帰る。
分かってるな?

9時半にばあさんを拾う事で話がついてるから遅れないように」



「・・・はい」


晴太はか細い声で返事をした。




「お前が最近おかしい理由は女だろ?

ちゃんと手を切るんだ。

分かったな」








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