窓ぎわの晴太くん
晴太は時計を見るともう11時をとうに過ぎていた。
里子は起きているだろうか・・・
いや、絶対に起きている。
下手したら待ちくたびれて駅まで俺を迎えに行ってるかもしれない。
里子はそういう子だ・・・
晴太は、相手が恋多き女性で晴太との関係も半分遊びと割り切れる女性ならどんなに良かったかと心から思っていた。
里子は素直で正直すぎる。
何が魅力でこんな俺の事が好きになったのか全く分からない。
俺が里子に惚れる理由は山ほどあるけれど・・・
何をどう話せば里子が納得してくれるのか自信はないが、とにかく里子の家に行かなきゃならない。
あの子は俺が来るまで寝ないで待っているはずだから・・・
晴太がホテルを出て駅までの道を歩いていると、先の方に坂龍の連中がたむろしているのが見えた。
晴太は立ち止まりしばらく物陰に隠れて奴らの様子をうかがった。
どうやらあいつらの今の標的はばあさんじゃなく俺のようだな。
晴太は連中とは真逆の方向に歩き始めた。
かなり歩くことになるが隣の駅から電車に乗るしかない。
晴太は後ろを気にしながら早歩きで移動した。
頼むから気づかないでくれよ・・・