窓ぎわの晴太くん



晴太は里子の執拗に絡めてくる指を一つ一つほどき、そして大きな晴太の手で里子の手を包み込んだ。
晴太の仕草一つとっても里子の全てを愛しているのが分かる。

でも、だから、それが里子を俺が奪ってもいい理由にはならない・・・


「まだ、誰にも話したことはないんだ・・・」



「だから話してほしいんです・・・

ちゃんと理由を聞かないと何も判断できない。
晴太さんがなんでこんな目に遭わなきゃならないのか、なんでつき合う事ができないのか。

私に話してください・・・
誰にも言いません・・・

約束します・・・」


晴太は目を閉じた。

里子を見た時から分かっていた。
この子は俺の弱みになるってことを。
だから近づかないように最初は努力してたんだ。

でも、そんなの無理に決まってる。
里子の存在に俺はあらがえない。
里子が望めば俺は何でもやってしまうだろう。


「ののちゃん・・・」


晴太は口の中の痛みをこらえ里子に優しくキスをした。


「話すけど・・・

でも別れる事には変わりはない。
それだけは心に留めておいて・・・」




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