窓ぎわの晴太くん
「あの日の事を思い出すと今でも体中が悲鳴をあげる。
一生かけても僕はきっと立ち直ることはできない絶望と悲しみを味わったんだ」
里子はもう一度晴太の指に自分の指を絡めた。
晴太の苦しみを私の力で癒してあげたい。
「僕は一人っ子で、僕の母親も一人っ子だった。
だから、母方の祖父母にはとにかくすごく可愛がられた。
たった一人の孫だったからね。
僕の家は母も働いていて、僕は小さい時は近所の祖母の家に帰ってたくらい。
祖母と祖父にとっては僕が全てだった。
それを子供ながらに痛い程感じてたよ・・・
僕が高校生の時に祖父が亡くなって、僕は一人になった祖母が可哀そうで祖母の家に一緒に住み始めた。
それくらい僕にとっては祖母は大切な人だったんだ・・・」
里子は晴太のためにはちみつウォーターをまた作って持って来た。
「晴太さん、これ飲んでね」
晴太は大きくため息をつきそれを一気に飲み干した。
「晴太さんのおばあさんってどんな人なんですか?」
里子は晴太の心をほぐそうと違う視点で質問してみた。
すると、晴太は何とも言えない安らぎを思わせるような里子が見たことのない柔らかい笑顔を浮かべた。
「あ・・・
ののちゃんに似てるかも・・・
ううん、ばあちゃんにののちゃんが似てるんだ」