窓ぎわの晴太くん
「おばあさんは誰にも相談はしなかったんですか?」
里子は晴太の自責の念を和らげてあげたかった。
だって晴太は何も悪くない・・・
「誰にも相談をさせないのがあいつらのやり方なんだ。
一人で抱え込ませて思考能力を奪っていく。
奴らはターゲットを見つけると隅から隅まで情報を集める。
行き当たりばったりで標的を決めてるわけじゃない。
騙しやすいお年寄りをちゃんと調べ上げている。
そこにピタッとはまったのが僕の祖母だった。
こんなどうしようもない孫がいたからね・・・」
晴太は喋り過ぎたせいか口元の傷が痛み出した。
ここまで洗いざらい里子に話した事は自分でも驚きだ。
でも、晴太の中では何も変わらない。
晴太の中の復讐の悪魔はまだ足りないと晴太にせっついてくる。
「晴太さんはそれで家を出て行った・・・
何をするために?
それはおばあさんが喜ぶ事なんですか?」
里子はもう分かっていた。
晴太がその時何を思って今何をしているかを。
「きっとおばあさんは喜んでない・・・
晴太さんが危ない目にあってまでおばあさんの復讐をしていることを・・・」
里子は晴太の目が変わったのが分かった。
憎しみに満ちたするどい目つきで遠くを見ている。