窓ぎわの晴太くん
「でも、僕は、こんなに弱い人間を騙してお金を奪っていくあいつらが考えれば考えるほど許せなかった。
僕の今やっている事はか弱いお年寄りのためでも祖母の復讐のためでもない。
きっと、自分のためなんだ。
許せない自分に罰を課してる。
どんな目に遭ってでも奪われたお金を奪い返したい。
最初は何も分からずに危ない事ばかりしてた。
自ら進んでそのグループの受け子役に入って情報を盗んだり、盗聴器を事務所に取り付けたり、もちろんネットで情報を盗む犯罪ギリギリのことまでした。
でも、結局は素人のする事、大元にばれて袋叩きにあった。
死ぬ寸前だったよ・・・」
里子はこんなに傷ついている晴太を抱きしめたかった。
気の利いた言葉なんて見つからない。
里子は晴太の代わりに泣くしかなかった。
そんなこと亡くなったおばあさんは望んでいない・・・
自分に課したその呪縛から解放される日は来るのだろうか・・・
晴太が可哀そう過ぎて里子の涙は止まらなかった。
「ののちゃん、泣かないで・・・
今はまだまともだから。
その時、警察に保護された僕は相沢さんを紹介してもらったんだ。
もっと賢くやれって言われたよ。
お前のやってる事は否定はしないけど法に触れれば捕まえるしかないってね。
今は探偵の相沢さんと組んで詐欺を未然に防ぐ努力をしている。
でも、僕のしていることは危なっかしい事は変わらないんだ。
実際、見てのとおり、こんな目に遭うくらいだからね」