窓ぎわの晴太くん




晴太は家に戻りシャワーを浴びた。
所々に深い傷があり痛みで死にそうになったが、とにかく体を清潔にしないと今日は大切な仕事を任されている。

里子が献身的に傷の手当てをしてくれたおかげだった。
傷口はもう再生を始めている。

晴太は自分の傷口から目が離せなかった。
里子と別れる事は自分にとって致命傷だという事実を晴太は改めて思い知らされた。

やっと見つけたかけがえのない居場所を自ら手離した。

でも後悔はしたくない。
それが里子にとっては最善であればそれでいい。
俺は、我慢すればそれでいいんだ・・・



晴太は待ち合わせの時間にホテルの前で金井のばあさんを拾った。
もう何度も顔を合わせているため晴太に何の不審も抱いていない。


「あれ? 顔はどうしたの?」



「金井さん、僕に話しかけないでって言ってるじゃないですか。
私語は厳禁なんです。
僕達の商売は喋り過ぎることはあってはならないので」



「金井さんはやめてって言っているでしょう?
美津子と呼んで下さい」



このばあさんも変わってる。
天然でお嬢様で自分の世界で生きている。

俺はそういう女性を引きつける男なのか?・・・

勘弁してくれ・・・














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