窓ぎわの晴太くん
涼は少し複雑な思いで夏子からのLINEを見ていた。
実は、涼は昨日も一昨日も里子にLINEを送っていた。
全く返信がないのはもちろん既読さえついていない。
本当に気づいてないのか?
画面上だけで確認してスルーしているのか?
今日も一日そんな事ばかり考えていた。
でも、俺が知っている里子ちゃんなら本当に気づいてないはずだ。
今日、里子と顔を合わせればそれははっきりするだろう。
きっとこんなところが晴太と俺の違いだろうな・・・
LINEごときでくよくよねちねち考える俺は究極のガキだ。
は~、本当、自分自身が嫌になる。
「イェ~~イ、里子ちゃん、元気??」
涼はとびっきりのスマイルで里子の前に現れた。
「涼さん・・・」
涼はホッと胸をなで下ろした。
この顔は絶対LINEに気づいてない。
「里子ちゃん、その前に俺のLINE見てくれた?」
「LINE?」
里子は慌ててスマホを確認した。
涼から2件のメッセージが入っている。
「ごめんなさい・・・
全然気づかなくって・・・」
涼は落ち込むどころかがぜん元気を取り戻した。
でも、里子は違う。
涼の優しさに涙がこみ上がり、ひっくひっく声が漏れだした。