窓ぎわの晴太くん
二人の選択
里子は綺麗に施された指先を見ていると、晴太の綺麗な指先を思い出した。
「夏子さん、私、晴太さんの綺麗な指先がとても好きなんです」
夏子はうんうんと頷いた。
「ののちゃんも気づいてたんだ。
ハルの手は本当にきれい・・・
子供の頃からそういう手だった」
里子は青空を思わせる淡いブルーのネイルは、なんだか自分に元気を与えてくれるような気がした。
「夏子さん、涼さん、今日は色々とすみませんでした。
私、こんなにも人を好きになるって事が初めてで自分でもどうしていいのか分からないのが本当のところなんです。
晴太さんは私の事を思って去っていったのは分かってます。
・・・でも、私はやっぱり晴太さんの事を助けてあげたい。
引くに引けない事情があるとしても、引ける時期がくるまで見守っていてあげたい。
きっとめっちゃ嫌がられると思いますが、でも、頑張ります。
晴太さんを見捨てたくないんです・・・」
夏子はネイルの道具を片付けながら涼をチラッと見た。
涼は夏子の視線を感じたが気づかないふりをして無視をする。
「それはののちゃんが決めること・・・
私はハルの事も大切だし、もちろんののちゃんの事も今は妹みたいに思ってる。
自分の心が求めてるように動けばいいのよ。
ね? 涼ちん」