窓ぎわの晴太くん



涼は不機嫌な目つきで夏子を見た。


「は? なんでそこで俺だよ?」


夏子はそんな不憫な弟を見て小声でバカとささやく。


「ののちゃん、私からいい提案があるの。

ハルのせいでののちゃんもまだ元気が中々出ないと思うんだけど、そんな時はこの暇な弟と遊んであげて。
涼も彼女と別れて暇してるし、何より晴太の事をよく知ってる人間だからさ。

若い者同士、こんな時はギブアンドテイクの精神で、ね?」


涼はこのおせっかいなおばちゃんにうんざりしていた。
そんな事わざわざ言われなくても分かってる。


「夏子さん、実は、私、もう涼さんにはたくさん助けてもらってるんです。
涼さんが近くにいてくれたから頑張れたところもたくさんあって・・・

だから今度は私が涼さんの力になってあげたいって思ってるんです」


夏子は里子の素直な一面も涼の生意気な一面も双方ひっくるめて愛している。
この二人がくっついてくれればなんて思ったりもしているが、それは神様にしか分からない事だ。


「じゃ、涼、ののちゃんを送ってって。
なんならどっかでご飯でも食べていけば?」


涼はもう一度夏子を睨みつけた。


「言われなくても分かってます。お姉さま」


夏子と里子は顔を見合わせて笑った。


里子にはやっぱり笑顔が似合う・・・

俺がその笑顔をもらいます。
ということで、さようなら、晴太・・・






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