窓ぎわの晴太くん
晴太は抹茶プリンを頬張って生き返った気分になっていた。
「二枚目さん、あなたはいつからこの仕事を始めたの?」
「美津子さん、再三言ってるように僕はあまりベラベラ喋っちゃいけないんです」
晴太はスプーンを置いてため息をついた。
「誰にも言いませんよ。
ここには私とさおりさんしかいません。
あなたの話を一体誰に教える必要があるの?
退屈なおばあさんは話し相手が欲しいだけなんですよ。
一見、賢そうで聡明に見えるあなたが何故こんな事をしてるのかちょっと知りたいだけ」
美津子は隣に座っているさおりと、口に人差し指をあて首を横に振りながらお互いで頷き合った。
「あなたの力になれるかもしれないわよ」
美津子はまたさおりと顔を見合わせ笑い合った。
「力?」
「そう、80年以上生きてきた年寄りは色んな知恵を持ってるの。
色んな物も見てきたし、色んな思いもしてきた。
ま、あなたの胸の内は大体分かっているけれど・・・」
晴太は魔女の館に入り込んでしまったと思った。
でも、魔女の力でも俺のばあちゃんを生き返らせる事はできないだろ・・・