窓ぎわの晴太くん
初めてのつけ麺は本当に美味しかった。
朝ごはんも昼のお弁当もほとんど食べていなかった里子にとって、魚介のだしのきいた優しいスープは斬新的でスルスルと胃の中に入っていった。
料理好きな里子はすぐさまこの味を脳にインプットさせた。
自分で作ってみよう・・・
そう思うだけで心がワクワク騒ぎ出す。
涼はそんな里子の様子をスマホで録画していた。
里子のクルクル変わる表情は涼にとってはいい勉強材料になる。
里子ちゃんロボットは冗談ではなく涼の仲間内では知的ロボット開発を取り組んでいた。
より人間に近いロボット開発はまだまだ発展途上の状況だ。
でも、いつかは癒し系ロボットを作りたい。
里子の魅力は何の計算も疑問もなく人の心にすんなり入ってくるところだ。
守ってあげたいと思う反面、癒されたいと思う自分がいる。
「涼さん、今日は美味しかった~~~
本当にありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして」
涼は里子もつけ麺を気に入ってくれた事で上機嫌になっていた。
「あ、そうだ・・・
里子ちゃん、お願いがあるんだけど」
「何ですか?」
「今度、うちの大学に来てほしいんだ。
皆に里子ちゃんを紹介したいと思って。
人型ロボットの知能をコンピューターでプログラムしていく段階で里子ちゃんの感性を学ばせてもらいたい。
今度の週末、空いてない?」
里子は笑顔で頷いた。
週末に予定が入ったことが嬉しかった。
涼さん、ありがとう・・・