窓ぎわの晴太くん
二人の変化
晴太は覚悟を決めると何のためらいもなく言葉がスラスラと出てきた。
里子に話した後だからだろうか、美津子の顔を見つめて話していると心がもっと話してせがんでいるようだ。
晴太は里子に話すよりももっと具体的に客観的に話すことができた。
でも、美津子が頷く姿を見ると胸が張り裂けそうになる。
俺のばあちゃんと美津子は全く真逆の人間だ。
おっとりとしたお嬢様育ちの美津子にばあちゃんの面影が重なることはない。
晴太は頭の中で封印していた祖母の記憶をたどり出した。
「あなたのおばあさまはどんな方だったの?」
そんな晴太の頭の中を覗いたかのような質問を美津子はしてきた。
「僕の祖母は笑顔が可愛い人で普通にしている時も笑って見えるような顔の人でした。
だから、僕の記憶の中では祖母が怒ったところは思い出せないくらい」
美津子はクスっと笑った。
「あなたはきっとおばあさん似ね。
そうよく言われたでしょ?」
晴太は驚いた。
確かに晴太は祖母によく似ていた。
その事が祖母の自慢だったように。
「もしかして・・・
美津子さん、うちの祖母の事を知ってるんですか?」
もしそうだとしたらこの展開に納得できる。