窓ぎわの晴太くん



「おばあさまは・・・

あなたのおばあさまは最初からあなたの事を怒ってなんかいません。
許すも許さないも最初からそんなこと思ってません。

二枚目さん、あなたがおばあさまに本当に申し訳ないと思うのなら今みたいな仕事をすぐに辞めて幸せにならなきゃダメよ。

そして、おばあさまの事をたくさん思い出してあげて。
楽しかった事、嬉しかった事、おばあさまをどれだけ愛していたか、心の中で考えるだけでいいの。

おばあさまは何があってもあなたを愛してる。
あなたがどんな人間になろうとあなたを見捨てない。

それはあの世に行っても同じことなの・・・」


晴太は久しぶりに熱いものがこみ上げていた。


「でも・・・」


でも、俺はばあちゃんに何も伝える事ができなかった。
せめて、ごめんって謝りたかったのに・・・


「もう、いま時には珍しい頑固な若者だこと。

あら、いい事を思いついたわ。

近々私もあの世に行くと思うから、その時にあなたのおばあさまにあなたの事を教えてあげましょう。
全員は救えないけれど何人かの人達をオレオレ詐欺から守った事を。

おばあさまは教えなくても知ってらっしゃると思うけどね」



















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