窓ぎわの晴太くん
涼は大学の最寄りの駅で里子と待ち合わせをしていた。
つけ麺を一緒に食べた日以来、里子と顔を合わせるのは初めてだ。
LINEでは何度もやり取りをした。
里子の言葉は表面上は元気そうに綴っているが涼は心が痛かった。
里子を早く元気にしたい・・・
俺には何ができるかな?・・・
「里子ちゃん」
今日の里子は白のプリーツスカートに紺色の薄手のニットのセーターを着ていた。
派手ではないいつもの里子のセンスは涼のお気に入りだった。
涼の感性とは全く違う大人しくて真面目な里子に、左耳に鎖のピアスをぶら下げた金髪のマッシュヘアのやさぐれ男の涼はどういう風に見えているのか知りたかった。
でも、里子は究極のやさぐれ男の晴太を好きになっている。
やさぐれでは晴太には勝てない。
涼は里子の後ろで見え隠れする晴太の影が鬱陶しくてしょうがなかった。
「涼さん、今日は誘ってくれてありがとう」
里子は涼を見つけるとそう言って律儀に頭を下げた。
「全然。
こっちこそ付き合ってもらってありがとう。
それよりなんか研究室の奴らにたくさん質問されるかもだから嫌な時はすぐ俺に言ってね」