窓ぎわの晴太くん



涼は落ち込んでいた。

9月に入った最初の週末に涼は里子を海に行こうと誘った。
夏の間も家にこもりがちだった里子を外へ連れ出したかった。

美味しい食事やショッピングもできるように横浜に行こうと思っていた。



ここ最近、姉の夏子が涼におせっかいな事ばかり言ってくる。


「ののちゃんの心の傷が癒えるまでなんて言ってたら何年経ってもあんたは片思いだよ」とか、


「少しは強引にいかなきゃ相手は晴太なんだから。
女を惑わすあの晴太の笑顔がののちゃんの心に住みついてるんだよ。
そんな大人しく待ってばかりいたってダメなの。

告白しな。
ちゃんと自分の気持ちをはっきり伝えてキスの一つでもしておいで。

誰に似たんだろうね。
そんな女々しいとこ・・・」


姉ちゃんというものは時には悪魔のようにひどい事を言う生き物だ。
特に晴太を知り過ぎていることもこの上なくやっかいだった。

でも、俺もそろそろ心の決着をつける時期だとは思ってる。
ちゃんと思いを伝えたい・・・


俺のやり方で・・・






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