窓ぎわの晴太くん
二人は中華街で夕食をとった後、中華街から赤レンガまで涼みながら歩くことにした。
海沿いの道は夜になると涼しい風が吹いている。
里子はスキップをしながら楽しそうに歩いていた。
涼は今日しかないと思っていた。
日常に戻れば里子の心の中にいる晴太が顔を出す。
でも、今のこの時間は二人だけの時間だ。
里子の答えは本当は聞かなくても分かっている。
でも、俺の想いをやっぱり分かってほしいって最近思うんだ。
里子の心の中の隅っこに俺の居場所があればそれだけでいい。
それだけでいいんだ・・・
「里子ちゃん、あのベンチが空いてるからちょっと座ろうよ」
里子は涼の後について一緒にベンチに座った。
真正面に海があるため海の匂いが鼻をくすぐる。
「ねえ、俺ってさ・・・」
「うん?」
きっとその後に俺が何を言い出すか里子は何も分かっていない。
「俺って・・・
里子ちゃんにとっては弟なの?」
「涼さん、どうしたの?」
里子は真面目な顔をしている涼の事を心配してそう聞いた。
「俺は・・・
今さらだけど・・・
里子ちゃんに初めて会った日から里子ちゃんの事をずっと好きだった。
ううん、今でもそれは続いてる。
俺は里子ちゃんが好きで、本当はつき合いたいって思ってる・・・」