窓ぎわの晴太くん
里子は突然立ち上がり海の方へ歩き出した。
別に涼から逃げているわけではない。
私の心の中は悲鳴を上げていた。
きっと涼も私から離れていく・・・
だって晴太さんをいまだに忘れられずにいるんだもの。
きっと、今日を最後に涼さんもいなくなって私は一人ぼっちになる。
里子は柵越しにずっと海の流れを見ていた。
もちろん涼の気持ちは気づいていた。
でも気づかないふりをしてた。
今となればそんな自分が本当に嫌い。
自分の事しか考えていない、最悪な自分・・・
「里子ちゃん、どうしたの?」
里子は俯いたままだ。
でも、里子は顔をあげて涼の顔をちゃんと見た。
「涼さん・・・
ごめんなさい・・・
私、涼さんの気持ちはずっと分かってました・・・
でも・・・」
里子は涙がこみ上げてその先が言えない。
でも、その先をちゃんと涼に伝えないとならないのに・・・
涼は里子を後ろから抱きしめた。
里子の華奢な体は涼の腕の中にすっぽりとはまる。
「里子ちゃん、もういいよ・・・
答えは聞かなくても分かってるんだ。
ただ、俺の想いを里子ちゃんに伝えたかっただけで」