窓ぎわの晴太くん



「ううん、私もちゃんと涼さんに言わなきゃならないの・・・

私は・・・

涼さんとはつき合えません・・・

晴太さんを死ぬほど愛してる。
そんな私が涼さんとつき合ったとしても涼さんは幸せじゃない。

私の心が求めてるのは・・・

晴太さん・・・だけなんです・・・

ごめんなさい・・・」


涼は抱きしめていた腕の力を緩めた。
すると里子は涼の腕の中から離れていく。

だよな・・・
分かってる事でもこうやって改めて言われたらマジできつい。
なんか脱力感が半端ない・・・


「いいんだ・・・」


涼はそれしか言えなかった。

里子はまたさっきのベンチに戻った。
涼もまたそのベンチまで歩く。

涼はベンチに座っている里子の前にしゃがみ込んだ。
里子は必死に笑みを浮かべているが顔は涙で濡れている。


「俺は里子ちゃんと親友になる。
それなら二人何の気兼ねもなく会えるだろ?」


里子は驚いた顔で涼を見た。


「でも、親友は明日からでいい?

今日までは・・・」


涼はそう言うと、里子にキスをした。
きっと最初で最後のキスだろう・・・


このキスは何の意味を持つ?
キスに意味なんてあるわけない。

愛してるからキスをする。

今日で最後・・・
今日で俺の気持ちに蓋をする・・・








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