窓ぎわの晴太くん



それからの日々はあっという間に過ぎた。

10月の里子の誕生日は実家で過ごした。
冬が来てクリスマスの季節。
夏子の店でネイルをクリスマス柄にしてもらった。
それは唯一の自分へのプレゼント。
そのイブの夜は夏子の店で夏子の常連客でイブに何も予定のない人達でパーティをした。


「夏子さんは彼氏がいるのに大丈夫なんですか?」


里子が素朴な疑問を投げかけると、


「この年になったらそういう風に天秤にかけることはしないの。
彼氏もここにいる皆も大事。
それでいいじゃない?」


今、里子にとって夏子は歩くバイブルだった。
自分にない物をたくさん持っている。
夏子の女性としての生き方に里子は憧れていた。
毅然とした竹を割ったような性格が大好きだった。


「最近、涼と会ってる?」


夏子は里子のグラスにシャンパンを注ぎながら聞いてきた。


「あ・・・はい。

たまには会ってます。
前ほどじゃないですが・・・」



「そっか・・・
ま、実際、あいつもなんだかんだ忙しいみたいだからね。

仲良くしてあげてね。
たまにはののちゃんからも誘ってあげて~」


夏子はそう言うと自分のシャンパンを飲み干した。


「それで・・・

ハルからは?
何の連絡もなし??」



「はい・・・」


里子は一瞬で顔を暗くした。


「そっか・・・

クリスマスにじゃ~んって現れるかと思ってたんだけどね。
あいつも何をしているんだか・・」


里子もそう思っていた。
イブの今夜に、いや明日のクリスマスにやってくるかもしれない。



でも、現れなかった・・・
晴太さんはもう私の元には帰ってこない・・・

待つことをやめろと言われた気がした・・・






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