窓ぎわの晴太くん
“パチン・・・”
“パチン・・・”
“パチン・・・”
晴太は間をあけて里子の部屋の出窓に3回小石を投げた。
厚手のカーテンがかかっているわけではない。
薄手のレースのカーテンだから小石の音は部屋中に響いているはずだ。
晴太は里子が窓を覗きに来るものだと思っていたのに、人影すら見えない。
留守なのか?
いや、あんなに明かりがついているのにそれはないよな・・・
晴太は胸騒ぎがした。
窓の場所までも来れない何か事情がある?
具合が悪いとか?
晴太は元々保護本能が異常に強い男だ。
このオートロック無しのマンションに里子が住んでいることさえ我慢がならないのに、里子が窓に出てこれないだけで頭がおかしくなりそうだった。
晴太は里子のマンションに向かった。
元気な顔が見れればいい。
あ~、俺は何をやっているんだろう・・・
晴太は里子の玄関のドアをそっと回してみた。
鍵がかかっているならこの壊れたチャイムを鳴らすだけだ。
“カチャ”
え?
鍵がかかってない?
女の子の一人暮らしなのに??
晴太の保護欲はマックスまで高ぶってしまった。