窓ぎわの晴太くん



里子は恐怖に震えながら、押入れの隙間からこの部屋に入ってくる何者かを見ていた。


里子は家に帰ってきて横になっていると急に悪寒がし出したため、常備している風邪薬を飲んでそのままこたつに丸まって寝ていた。

すると、窓の方で何か変な音がした。
里子は無理やり目を開け窓の方を見たが頭痛のせいで部屋がグルグル回って見える。
でも、窓からの音は止まなかった。

こんな時間に怪奇現象??

里子はそう思った瞬間、頭の中にジェイソンが浮かんできた。

あ、今日は13日の金曜日・・・

耳を澄ますと大きな足音が階段を昇ってくる。

里子はふらつく頭のせいで立ち上がる事ができず、でも這いつくばって必死に押入れに入った。
狭い押入れの中から掃除機を外に投げ出す。
これでやっと座れる・・・

すると、玄関のドアを開ける音がする。

え、私、鍵をかけなかった?
具合が悪かった私はそのままリビングに倒れ込んだんだっけ・・・

もう、記憶さえ曖昧だった。


里子は押入れの中から部屋の中を見ていると、そこに大きな男が入ってきた。
高熱のせいか恐怖のせいか、目の前がグルグル回って顔がよく見えない。

なたは? 斧は?
白いマスクは?

あ~、私はきっとこれで死んでしまうんだ。

その男は獲物を見つけたかのように押入れに近づいてくる。


里子は強烈な恐怖に苛まれ、そのまま気を失ってしまった。





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