窓ぎわの晴太くん
晴太は様子をうかがいながら里子の部屋に入った。
テレビの音だけが異様に響いている。
台所は荒れた様子はない。
リビングに入ると不自然な場所に掃除機が投げ捨てられたかのように置いてある。
でも、里子の姿はない。
晴太は嫌な予感が頭の中から離れなかった。
こたつ布団をめくって中を覗いたが誰もいない。
晴太はどう考えてもあの掃除機が気になった。
掃除機に目をやるとその先に押入れがある。
あ、あそこか?
晴太はゆっくり近づいた。
そして、勢いよく押入れのふすまを開けた。
そこには・・・
そこには、顔を真っ赤にした里子が気絶していた。
晴太は驚きのあまりに声が出ない。
何でこんなところにいるんだ?
里子の体を触ると高熱が出ていることはすぐに分かった。
晴太は狭い押入れの中から里子を引っ張り出し、そして抱き上げてソファに寝かせた。
押入れから毛布と上掛け布団を出して里子にかぶせる。
こたつの上には風邪薬と空になったコップが置いてあった。
風邪をひいて寝込んでたのは分かるけど、なんで押入れなんだ?
晴太は色々な出来事のせいで久しぶりの再会だということすら忘れていた。