窓ぎわの晴太くん



里子は夜中に一度なんとなく目が覚めた。
ちゃんと布団に寝ている。
まだ頭が朦朧としているせいでこれが現実か夢かも分からない。

頭を横に向けると見慣れた男性の顔をした男の人がソファに寄りかかって寝ていた。

晴太さんだ・・・

里子はまた目を閉じた。
素敵な夢を覚ましたくなかったから。
夢の中で見る晴太は里子の手を握って疲れた顔をして寝ていた。

晴太さん・・・
会いたかった・・・

夢の中でもすごく嬉しいよ・・・



バレンタインデーの朝は体の底から冷え込むほど寒かった。
里子はまだ頭は重かったがしっかりと目を覚ました。
なにげなく顔を横に向けると心臓が止まってしまった。

晴太さんが・・・
晴太さんがなんでここに居るの?
それにすごく寝てる・・・

里子はそっと布団から出てシャワーを浴びに行った。

きっとまだ私は熱で頭がおかしくなっているに違いない。
汗もたくさんかいてるし体も頭もすっきりさせなきゃ・・・

晴太さん?
いるわけないじゃない・・・


里子はシャワーから出て恐る恐るリビングに戻った。


「ののちゃん、おはよう・・・」


そこには寝ぼけまなこの晴太がいた。


里子はその場にしゃがみ込んだ。

わけが分からない・・・
私、熱のせいで幻影が見えているのかも・・・











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