窓ぎわの晴太くん



「なんで晴太さんがここにいるんですか?」


里子はまだ身動きできずにいる。


「だよな・・

でも、俺も聞きたい。
なんで押入れにいたの?」



「押入れ?」


里子は曖昧な記憶を必死にたどった。


「じゃ、あのジェイソンは晴太さんだったんですか?」



「ジェイソン??」


晴太は久しぶりに会った里子に何の変りもない事が嬉しいような複雑な気分だった。


「はい・・・
だって昨日は13日の金曜日だったんですよ。
あんな風に家に入ってきたら誰でもジェイソンって思います」


いや、ののちゃんしか思わない・・・


「それで押入れに隠れてたんだ。
でも、僕が見つけた時はもう気絶してた」



「そうなんですね・・・

最後に殺されるって思ったのは覚えてます・・・」


晴太は我慢しきれずに笑ってしまった。
なんて可愛いんだ・・・


「ののちゃん、久しぶり」


里子は今度は泣き出した。
やっと実感が沸いてきたから・・・


「でも、また、きっと晴太さんはいなくなるんでしょ?

だったら、会いにきてくれない方がよかった。
私、やっと、晴太さんの事を忘れようと心に決めたのに。

また振り出しに戻っちゃう・・・」


里子はまた体が熱くなってきた。
熱が上がり出しているのが分かる。


晴太は立ち上がり里子を抱き上げた。





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