窓ぎわの晴太くん



「東さんは・・・
今日は5時上がりでいいですか?」


里子は晴太の前になると声が震えて顔が赤くなった。
意識してないなんて言ったら嘘になる。
だって24年間生きてきた中で初めて一目ぼれというものを経験したんだもの。


「とりあえず、5時上がりでつけといてください。
まだ終わらせないといけないものが3件くらいあるので、もうちょっと仕事していきますね」


晴太は疲れた顔で笑って見せた。


「そんな・・・

東さん、いつも残業してくれるのに派遣さんは残業手当はつかないんでしょ?
そんな、もういいですよ。
後は私がやりますから、東さん、帰って大丈夫です」


里子は腕を曲げて力こぶを作って見せた。
里子は晴太と触れ合う時間をとても大切にしていた。
だって、晴太はあまり談笑とかしない人だから・・・



「ののちゃん、僕の仕事ってクレーム処理だよ?
ののちゃんみたいな心が澄んだ女の子にはかなりこたえるよ。

大丈夫です。僕がやるから」


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