窓ぎわの晴太くん



夏子がまつ毛のエクステを丁寧に里子のまつ毛につけてくれている間、里子は夏子に聞きたい事を頭の中で吟味していた。
本当は聞きたい事だらけなのだが、でも、今日は初対面でもあるし、あれこれ晴太の事を詮索して夏子に嫌われたくはない。


「夏子さん、あの・・・

一つだけ晴太さんの事を質問してもいいですか?」


夏子は手の動きは止めずに「どうぞ」と答えた。


「私、まだ、晴太さんの事を何も知らないんです。

晴太さんってどういう人なんですか?」


里子は目を閉じているせいか、案外すんなりと夏子に聞くことができた。
夏子の表情は全く分からない。


「ハル?

昔のハル?それとも今のハル?」


夏子の声の感じではこの質問に不快感はないようだ。


「今の晴太さんを知りたいです」



「・・・・・」



ほんの少しの間、沈黙があった。
目を閉じている里子にはその沈黙に何の意味があるのか全く分からない。



「今の晴太か・・・

ののちゃん、本当に知りたいの?」








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